LLM出願体験記|出願準備から合格まで(運営者・戸木)

こんにちは。LL.M. INFO運営者の戸木です。

2020年8月からコーネルロースクールにLLM生として通っています。

1つ目の学期(秋学期)の期末試験が終わりましたので、個人的なものではありますが、LL.M.合格までの私の準備を体験記として残しておきたいと思います。

アメリカのロースクールLLM課程を目指す方の一助となれば幸いです。

  1. TOEFL対策
  2. 各ロースクールへの出願
  3. 投下資本

TOEFL対策

LLMを目指したときにまず着手すべきなのはTOEFLです。
(Test Of English as a Foreign Languageの略だそうです。)

なお、英語要件はTOEFLではなくIELTSでもクリアできますが、以下ではTOEFLに関する情報を記載しています。

※ TOEFLの試験形式が2019年8月に変更されています。ネットで情報を集める場合には、変更前の情報なのか変更後の情報なのかに注意してください。

私自身、今まで英語の勉強をきちんとしてきた経験がなかった(附属高校だったので大学受験もなかったこともあり、ろくに英語を勉強してこなかった…)ので、それなりに時間と労力を費やしました。

2020年夏の渡米を目指し、2017年11月からTOEFLを受験し始め(初回の点数は恥ずかしながら49点でした…)、2020年1月まで計20回受験しました。

最終的なスコアも90点止まりで、私の勉強方法はあまり参考にならないかと思いますが、最低限の情報を紹介しておきたいと思います。

 

ひとまず最初に着手したのはオフィシャルブックの購入で、これを見ながらTOEFLの問題の形式や雰囲気を掴みました(とはいえ説明文も全て英語で書かれていて、解読するだけでそれなりの時間を要しました…)。

 

TOEFLの点数を上げるためには、語彙力リスニング力を向上させるのが最も効率的と言われています。

 

TOEFLはリーディング(R)、リスニング(L)、スピーキング(S)、ライティング(W)の4パートから構成されています。

TOEFLは、受験者が米国の大学・大学院で授業を受ける能力を有しているか否かを判定する試験なので、幅広いトピックでアカデミックな内容が問われます。
具体的には、楔形文字、ダーウィンの進化論、世界四大文明、ゴールドラッシュなど、普通に英語の勉強をしているだけでは馴染みのないトピックに触れることになります。

そこで必要になるのが幅広い語彙力で、TOEFLでの語彙力向上に欠かせないと言われている参考書が「TOEFLテスト英単語3800」です。

ただ、個人的には本を持ち歩くのが億劫だったため、「mikan」というアプリ(App Store / Google Play)をダウンロードし、その中でTOEFLテスト英単語3800を購入し(4段階に分けられているランクを全て購入して2,000円)、通勤中移動中ともかく時間があるときにコツコツ進めるようにしていました。

一方で、リスニングではリスニング力が問われることはもちろん、スピーキングとライティングでもリスニング力が問われるため、TOEFLの攻略にはリスニング力の向上が欠かせません。

具体的には、スピーキングでは4問中3問が、ライティングでは2問中1問が、リスニングの内容を元に回答をする問題形式になっており、そもそもリスニングができなければスピーキング能力もライティング能力を発揮できないようになっています。

そのため、「リスニングを制する者はTOEFLを制す」とも言われているほどです(TOEFL? iBT 101.comより)。

 

私は最後の最後までリスニング力が上がらずに苦しめられたのですが、一般的にはディクテーションとシャドーイングが効果的だと言われています。

ググった結果、リスニング「初学者」向けにはNHKの「決定版やさしいビジネス英語」シリーズ(著:杉田敏氏)が良いという結論に達しました。

しかしながら、当時の私は手に入れられなかったため(今見ると中古本がリーズナブルに買えますね…)、同じ杉田敏氏による「実践ビジネスビジネス英語 ニューヨークシリーズ ベストセレクション」を購入してディクテーション・シャドーイングを練習し、その後にETS作成の練習問題等に移行しました。

そして、TOEFLのスコアが71点に達したところで、Andy先生の勉強会に参加しました。

Andy先生の勉強会は一見して高額ではありますが、TOEFL90~100点を目指すために必要な情報やツールを伝授してもらえます。

 

なお、スピーキングに関してはE4TGが鉄板かと思います。
(English For TOEFL and GMATの略みたいです。)

講師のドナルド先生がネイティブの英語で講義をしてくれますし、ひたすらスピーキングの練習を行う(必然的にリスニングもしなければならない)ので、リスニング力も向上します。

 

その他のTipsはAndy先生や他の先生方にお任せしたいと思いますが、各ロースクールの合格に必要な最低点数目安はロースクール一覧ページに記載していますので、是非目標点数達成に向けて頑張ってください!

下記出願準備との兼ね合いで、8月頃までにTOEFLで十分なスコアを取っておくことをお勧めします。。。

 

各ロースクールへの出願

ロースクールへの出願準備は、ロースクールに入学する予定の年の前年夏頃から始まります。

アメリカのロースクールの多くは、出願者に対してLSACを通して出願することを求めています。

私は、2020年夏の入学に向け、2019年9月にLSACに登録(LLM Applicants用のアカウントを作成)しました。

 

登録をした後は、必要書類をLSACに送る(証明書・推薦状・英語のスコアは、学校・作成者・試験機関がLSACに直接提出する)ことになります。

主な必要書類は以下のとおりです。

  1. 出身学校(大学以降)の成績証明書・卒業(修了)証明書
  2. 推薦状(学校により2~4通)
  3. 英語(TOEFL)のスコア
  4. レジュメ(履歴書のようなものです)
  5. ステートメント(志望理由や、学校が指定したエッセイなど)

 

成績証明書等については、LSACが出願者の成績証明書等を独自に評価し、その結果を各ロースクールに通知することになります。

弁護士である私の場合は、出身大学・出身ロースクール・司法研修所の成績証明書と卒業(修了)証明書(いずれも英文)の交付を申請し、LSACへの直接の郵送を依頼しました。
(司法研修所については、和光に電話をすれば申請用紙をFAXしてもらえます。)

※ 通常、郵送には郵便局のEMSを使いますが、2020年は新型コロナの影響で引受停止や遅れなどの事態が発生していました。順次再開・正常化していますが、状況を常に確認するようにしてください。なお、私はEMSの引受けが停止されていた期間中にNY Barのための必要書類の送付を依頼したのですが、代替手段としてヤマトの国際郵便を使用しました。

上記証明書の申請にあたっては、LSAC発行の「Transcript Request Form」が必要となりますので、LSACにて学歴(各学校等の情報)を入力するとともに、CAS (EAPS+DAS+ITAES) を購入して取得します。

なお、書類の送付先はLSACのLLM事務局の住所宛名:LSAC LLM Credential Assembly Service、住所:662 Penn Street, Dept. 8511 Newtown, PA 18940-8511 USA ※2020年12月現在)にするようにしましょう。間違えてLLM本部に送ってしまうと、国際電話をして行方不明の書類を探し出してもらわなければならなくなります。

届いたら届いた旨のメールが来て、LSACサイト上のステータスが「received」「Under Review」になります。

評価が完了したときにも完了した旨のメールが来て、ステータスが「Approved」に変わります。

司法研修所については申請書類が届いてから発送までに約10日、各機関から発送されてからLSACに到着するまで約5日(通常時)、そこからLSACでの評価完了まで1~3週間見る必要があるので、早めに準備しておきましょう(8月中準備開始、10月中評価完了推奨)。

 

推薦状は事務所のボスと学部時代のゼミの先生に作成を依頼し、2通揃えました。

実務での能力を知っている人と、アカデミックな能力を知っている人の両面から選ぶのが好ましいと言われているようです(真偽は不明です…)。

推薦状は、LSACサイト上でPDFで提出することが可能で(出願者がLSACサイト上で手続をすると、推薦者に手続方法を案内するメールが送られます)、LSACによる評価もありませんので、出願〆切日当日に提出してもらっても間に合います。

 

TOEFLのスコアについては、ETSのページの「My TOEFL Home」にある「Send Additional Score Reports」というメニューから、送付したいスコアが出た試験日と、送付先として「Law School Admissions Council JD Llm」を選択し、手数料(1件20ドル)を支払う必要があります。

ちなみに、私はLSACの登録だけして安心し切っており(LSACがETSと連携して勝手に取り寄せてくれるんだなーと勝手な思い込みをしていました…)、第1志望だったコーネルロースクールの出願〆切日(12月15日)がとうに過ぎた1月17日になって、ETSでの上記手続を済ませていないことに気付き血の気が引いたので、是非忘れないようにしてください。

また、上記手続をした後に英語のスコアが上がったので、出願済みのロースクールに対し、英語の成績をPDFで添付してメールを送信しました。
正式ルートの提出ではないはずですが、いずれのロースクールも成績の追完を受理してくれました。

結局、書類の準備が1か月以上遅れてもコーネルロースクールに無事に合格できましたが、これは後述するローリングベースであることが要因であるように思います。

 

レジュメステートメントについては、私は結局英語の対策に時間を取られて全然準備ができなかったため、AGOSの「LLM出願個別コンサルティングパッケージ 」というものを申し込みました。

11月15日に申し込みましたが、レジュメやステートメントの作成が〆切ギリギリまで食い込んでしまいましたので、11月中旬に準備ができていない方で英語に自信がない方は、是非利用を検討してみてください(結構高額ですが、最終手段としては適切だと思います)。

AGOSを使わずに自力で書き上げる場合でも、ネイティブチェックはしておいた方が良いです。英語ネイティブの(又はネイティブ並みの英語力を持った)友人に頼む方法や、エッセイの英語チェックのサービス(MBA用のものが多くあるようです)を使うなどの方法があります。

学校によって枚数や書式の指定(フォントのポイントやダブルスペースなど)がありますので注意してください。基本的に、最も多い分量を制限とする学校用に1つの型を作り、他の学校用に分量を削っていく戦法が良いのではないかと思います。

レジュメとステートメントについても、LSACサイト上でPDFで提出することが可能で、出願〆切最終日で間に合います。

 

各書類を揃えた後は、LSAC上でApplication Formを作成して出願をします。

School Search」からロースクールを検索して「My School List」に追加し、「Application Information」を選択し、「Apply and Submit Online」を押すことで、出願フォームにアクセスできます。(出願費用を支払うまでは最終的な出願にならないので、安心して「Apply and Submit」を押してください(笑))

「Apply and Submit Online」を押した後のページにある「Go To Application」を押すと、様々な質問事項等を入力するページにアクセスすることができます。

これが地味に面倒で時間が取られるので、出願期限より前に、時間があるときに済ませておいた方が良いです(特に最初に入力するロースクールについては数時間かかると思っておいて良いです。また、出願費用を支払うまでは最終的な出願にならないので、安心して「Go To Application」を押してください(笑))。

 

出願の〆切は、ロースクール毎に、12月上旬~3月上旬頃に設定されています。

参考までに私が出願した年の各ロースクールの〆切日を並べておきます(早期出願の日程は記載していません)。

Stanford University 2019/12/1
Harvard University 2019/12/1
Cornell University 2019/12/15
University of Pennsylvania 2019/12/16
Columbia University 2019/12/18
University of California–Berkeley 2019/12/18
New York University 2019/12/20
Northwestern University (Pritzker) 2020/1/15
Duke University 2020/1/20
University of Michigan–Ann Arbor 2020/1/31
University of Chicago 2020/2/1
University of Virginia 2020/2/1
Georgetown University 2020/2/1
University of California–Los Angeles 2020/2/1
University of Texas–Austin 2020/3/1
University of Southern California (Gould) 2020/3/1

 

是非各ロースクールの出願情報ページLSACの各ロースクールのページをチェックし、出願期限必要書類に関して抜け漏れがないように気を付けてください。

※ LSACで各ロースクールのページを確認する方法には、「Choosing a Law School」からロースクールを検索して個別ページを確認する方法と、「School Search」からロースクールを検索し、「My School List」に追加し、「Application Information」を選択し、「Apply and Submit Online」を押す方法(前述)とがあります)。

いずれのロースクールもローリングベース(一斉に合格通知を出すのではなく、順に合格通知を出す方式)を取っているので、〆切が過ぎてすぐに合格通知を受け取る方もいれば、5月~6月頃になって受け取る方もいるようです。

私自身TOEFLのスコアの提出が遅れても合格できたように、ロースクールがローリングベースで合格通知を出している期間中であれば、〆切を過ぎていても審査に入れてもらえることが一般的なようです。

万一〆切を過ぎてしまっても落ち込むことなく、早急に書類を提出・追完するようにしましょう。

 

出願手続を終えれば、出願費用を支払い、後は各ロースクールからの合格通知を待つのみです! Good luck!

 

投下資本

結局、純ドメスティックで附属高校出身の私は、LLM合格までに計約116万円を費やしてしまいました。

末筆までに紹介しますので、高額な資本を投下した一例として参考にしていただければ幸いです。

  • 書籍:約2万円
  • Andy勉強会:約7万円
  • E4TG:約12万円
  • AGOS(writing・出願コンサル):約38万円
  • TOEFL(20回):$4,700
  • LSAC・出願(4校):$815

2020/12/18 戸木亮輔
(2020/12/21更新)