こんにちは。LL.M. INFO運営者の戸木です。
2020年8月からコーネルロースクールにLLM生として通っています。
今回は、NY州の運転免許の流れについて体験記について記しておきたいと思います。
NY州に限った話で、またもや個人的な話ではありますが、米国で車を運転される予定の方の参考になれば幸いです。
そもそもNY州運転免許の取得は必要なのか
そもそも「留学生がNY州で運転をするために運転免許が必要なのか」という疑問を整理しておきたいと思います。
インターネットで調べていると、以下のような色々な情報が目に入ります。
NY州に90日以上滞在する場合は、住居確定後30日以内に取得必要。
NY州居住者でない限り、米国外の有効な運転免許を持っていれば、NY州の運転免許は不要。
路上試験の際に携行する(路上試験の際に運転免許が必要になることは後述します。)運転免許が米国外の有効な運転免許が英語以外の言語で書かれている場合は、国際免許証、又は、領事館、米国国務省その他の公的機関による翻訳文が必要。
参考 Resources for non-US citizensNEW YORK STATE Department of Motor Vehicles
なお、学生は通常は「居住者」とは見られない。
参考 Exchange your out-of-state driver licenseNEW YORK STATE Department of Motor Vehicles
結局、日本の運転免許証(翻訳文付き)又は国際免許証を携行していれば、NY州の運転免許の取得は不要なようです。
しかしながら、旅行でNY州外に出ることもあるでしょうし、上記の整理を知らない警察官から州の運転免許を持っていないことを問題視された場合に論破する自信も(少なくとも私は)ありませんので、運転する機会が多い方は州の運転免許を取得しておいた方がベターでしょう。
また、米国で自動車を保有して自動車保険に加入すると、保険会社から運転免許証の写しの提出を求められますので、この観点からは取得が必要とも言えます。
(真偽は不明ですが、のらりくらり「取得中です」と言い続ければ、結局取得しなくてもペナルティを受けることはないようです。)
少し観点が違いますが、レストランでアルコールを頼んだり、酒屋でアルコールを購入する際には、必ずと言っていいほど年齢確認のためにIDの提示を求められます。
毎度パスポートを持ち歩くのは面倒なので、運転免許証(仮免許証でもOK)があると非常に便利です。
Permit Test(仮免許取得)
書類取得
まずは、Learner Permit(学習許可証と訳すのでしょうか?)を得るべく、Permit Test(仮免許取得のための択一試験)を受験する必要がありますが、その受験のために必要な書類を取得するところから始まります。
これが意外と厄介です。
Real IDを取得するかStandardを取得するかで必要書類は若干異なるのですが、共通して、①住所を証する書類と②氏名を証する書類が必要です。
なお、Real IDがあるとパスポート無しで国内便のチェックインができるようになるようですが、運転免許証及び通常のIDとして使うだけであればStandardで全く問題ありません。
参考 Federal REAL IDNEW YORK STATE Department of Motor Vehicles
住所を証する書類は、Real IDを取得する場合は2つ、Standardを取得する場合は1つ必要になります。
我々留学生として用意しやすいのは、下記の書類あたりかと思います。
- Bank Statement(銀行取引明細書/預金残高証明書)
- Utility Bills(公共料金の明細書)
- Credit Card Statement(クレジットカードの明細書)
- Postmarked mail(消印付の自分宛郵便物。自分で自分宛に送ったものでもOK)
- Residential Lease(賃貸借契約書)
なお、以上に挙げたものは、いずれも作成・発行から1年以内であることが求められます。
氏名を証する書類については点数制が取られており、Real IDを取得する場合でもStandardを取得する場合でも6点分の書類を揃える必要があります。
我々留学生として用意しやすいのは、下記の書類あたりかと思います。
- Foreign Passport(日本のパスポート):4点
- New York State Certificate of Titile(NY州の自動車権利証):2点
- US College Photo ID Card and Official Transcript(大学IDと成績証明書):2点
- Bank Statement(銀行取引明細書/預金残高証明書):1点
- Utility Bills(公共料金の明細書):1点
- Cash Card (ATM)(署名入りキャッシュカード):1点
- Valid Major Credit Card(クレジットカード):1点
- Health Insurance Card(健康保険証):1点
留学生自身については、上記の書類を集めるのに難はありません。
気を付けなければならないのは、留学生に同行している配偶者や家族の場合です。
自動車、賃貸借契約、預金口座、クレジットカード等の名義人になっていないと、上記の書類を集めるのが難しくなってきます。
この観点から、自動車、賃貸借契約、預金口座、クレジットカード等について共同名義にしておくことをお勧めします。
上記の書類の他、Real IDを取得する場合にはProofs of Lawful statusが、Standardを取得する場合にはProof of Date of Birthがそれぞれ必要になりますが、これらは日本のパスポートでクリア可能なので大した問題ではありません。
以上に加え、Real IDを取得したい場合にはProof of Social Securityが必要になります。
米国で就労経験のない留学生は、ソーシャルセキュリティナンバーを持っていませんので、「ソーシャルセキュリティナンバーを取得できない状態である」ことを証明する書類(Ineligibility Letter)を取得することになります。
コロナ前は近くのソーシャルセキュリティオフィスに行けばすぐに発行してもらえたそうなのですが、現在は郵送での対応しかしてくれません。
ソーシャルセキュリティオフィスに電話したところ、頑なにパスポート原本を郵送しなければならないと言われてしまい、米国の郵送事情を考えるとパスポート原本の郵送はリスクが高すぎるため、Ineligibility Letterの取得を諦め、Standardを取得することに決めました。
ソーシャルセキュリティナンバーを持っておらず、かつIneligibility Letterの取得もしない場合は、DMVに行った際にその旨を伝え、その場で出してもらえる書面(おそらくこの書類)に一筆書くだけで事足ります。
以上が簡単なまとめですが、正確な説明については、是非DMVのウェブサイト(こちら等)をご確認ください。
予約
書類の準備が済み次第(又は準備が完了する時期を見越して)、DMV(日本でいう運転免許センター)のウェブサイト(私は居住しているTompkins CountyのDMVのウェブサイト)でPermit Testの予約をします。
DMVのサイトを見ると予約可能日時が1か月~数か月先になってしまっていることもある一方で、(直前キャンセルが出るせいか)翌日の予約枠が空いていたりするので、「明日行こう!」と思い立ったときにDMVのウェブサイトを確認してみるのも手です。
DMVに行く際には、上記で説明した書類の他、申請書(MV-44)の提出が必要になります。
事前に記入しておけば手続がスムーズですが、DMV現地で記入することも可能です。
なお、私は上記の流れで手続を進めましたが、DMVのウェブサイトを見るとオンラインで申請書類一式を提出することが可能になっているようです(NY州DMVウェブサイト)。
先に書類審査を済ませたい方は、是非チェックしてみてください。
試験
予約日時になったら、DMVに行き、受付で書類確認を済ませ、備え付けのPCで試験を受けます。
試験自体は5~10分程度で、即座に合格が分かります。
下記に記した資料・ウェブサイトを使って勉強しておけば、まず受かります。
なお、試験言語として日本語も選択できましたが、自動翻訳で適当に翻訳しているだけのようなもので、表現がおかしい部分が多々ありました。
合格すれば、再度受付に行って手続を済ませ、免許証に載せる写真を撮り、終了です。
申請費用は合計64.25ドルでした。
この中に、路上試験2回分の費用が含まれているそうです(路上試験を2回落ちてしまうと追加費用が必要になるようです)。
DMV到着から受験、合否判定、手続完了まで30分程度で終了してしまいます。
仮免許証は2週間ほどで郵送されてきます。
試験勉強
私が試験勉強のために使用したウェブサイトは以下のとおりです。ご参考まで。
参考 筆記テスト予想問題集Fuji Driving School
参考 New York Practice Permit TestePermitTest
Pre-Licensing Course(5時間講習)
Permit Testの合格後、Pre-Licensing Course(いわゆる「5時間講習」)を受ける必要があります。
コロナ前は教習所のようなところに行く必要があったようですが、現在はどこもオンラインで開講しています。
DMVでもスクールを紹介しれくれますし、ググればたくさんヒットします。
これはただ単に座って聞く(たまに質問が飛んできますが、ネイティブの方が自主的に答えてくれていました)だけなので、問題ありません。
受講後数日したら、5時間講習を受講したことを示す受講完了書(Pre-Licensing Course Completion Certificate)が送られてきます。
Road Test(路上試験)
予約
受講完了証を受領次第、DMVのウェブサイトでRoad Test(路上試験)の予約を取ります。
私は最寄りのイサカのDMVで予約しても良いのですが、車で30分程度かかるCortlandというところのDMVで路上試験の予約を取りました。
というのも、イサカのDMVは路上試験の合格判定が厳しいとの専らの噂で、周りでも(日本人に限らず)多くの人が不合格にされていたからです。
路上試験の場所を決めるにあたっては、従前から住んでいる留学生や現地の人に、路上試験の合否判定の難易を聞いてみてください。
試験
予約日時に指定の集合場所に赴きます。
ちなみに、日本の教習所での路上試験とは異なり、自分で車を用意し、自力で集合場所まで行く必要があります。
そのため、車を保有していない場合には、レンタカーを使うか友人に借りるかして、自分で運転するか、誰かに運転して連れて行ってもらう必要があります(誰かに運転して行ってもらうべきであることは後述します)。
集合場所はDMVの前だったり単なる道端だったりするのですが、このページのトップに載せた画像のような看板が立っていますので、そこに停車して試験官を待つことになります。
試験官が来たら、試験官の指示に従って路上試験を受けます(路上試験の一部始終を録画した動画を下記に載せました)。
路上試験に合格すれば、その場で合格証を受け取ることができ(レシートのようなペラ紙がもらえます)、2週間後ほどすると正式な免許証が郵送されてきます。
なお、路上試験に行く際には、運転できる誰かに連れて行ってもらうようにしてください(国際免許を持っている日本人でもOKです。私は妻に連れて行ってもらいました)。
なぜなら、NY州では、海外の免許を持っていた場合、路上試験合格時に海外の免許を没収・破棄されることになっているため、日本の免許証・国際免許証ともども没収されてしまうからです。
取り戻す手続もあるにはあるようですが、調べてもよく分かりませんでした。
そのため、試験官には、「(運転者)が国際免許証を持っていて運転ができるので連れてきてもらった。私はNY州の仮免許証しか持っていない。」と伝えるようにしましょう。
参考 Resources for non-US citizensNEW YORK STATE Department of Motor Vehicles
“When you pass your road test, you must give your foreign driver license to the DMV road test examiner. The local DMV office will destroy your foreign driver license. If you plan to return to your home country and will need your foreign driver license, ask the road test examiner how to make sure that your foreign driver license is not destroyed.”
恥ずかしながら、参考までに私が路上試験を受けた様子の一部始終を録画しておいたので、もしよろしければご覧ください。
途中、交差点で自転車に道を譲ったシーンがあるのですが、こちらが優先道路だったため、道を譲ったことで減点されています。
結局、100点中80点で合格でした(70点が合格ライン)。
試験勉強
路上試験で主に見られるのは、カーブのときの目視確認、一時停止、歩道脇駐車、Kターン(道路内でのUターン)、パラレルターン(縦列駐車)あたりのようです。
私は主に以下の動画やウェブサイトを見て準備を行いました。
試験の流れ等
ウィンカーを出すタイミング等
歩道脇停車
参考 A Must Watch Curbside Parking Video for Any New DriverDrivers Ed Direct
パラレルパーキング(縦列駐車)
参考 How to Parallel ParkwikiHow
Kターン(転回)
参考 How to Make a Three Point TurnwikiHow
少しでもご参考になれば幸いです!
ではまた!
2021/5/19 戸木亮輔